移動する羊 是楽日

kohitsuji.exblog.jp

移動する羊による稽古場の一つであり、呟きの場であり、表現の場所 物語・小説・詩・遊び

『幾草時』~2026年2月27日(金):目先想創


刈り取った豆苗を眺めている。
二回目のやつ。
最初の豆苗は野菜炒めで食べた。
根っこはそのまま窓際に。
もさもさ生えてきた。
つまりある意味自分で育てた豆苗である。
それらをお皿に並べて僕は悩んでいるのだ。
「どうやって食べる……?」

それにしても美しい。
ふかふかじゃないのよ。
鮮やかな緑、いや若竹色……だと薄いから、コバルトグリーンくらいの色味かな…?とか思案しつつ、この彩色美をどのように食するのかをかなり迷っているという訳だが…。

実際の選択肢は少ないように思うの。
美味しく食べるならね。
炒める。蒸す。かな?
でもここはあえて生食で行こうか…と。
思ってはいるが、ちょっとドキドキする。
え?普通?
生、普通かしら…?

しかし火を通した豆苗を食べた記憶しかなく(実際は生食したことがあるのだろうけど、認知をしていないので食べていないに等しいのだ…)、さて、果たして生で食べたらどうなのだろうか?
ニガイんじゃない…?

悩んだ結果、あまりの素敵な色味に思う。
「この鮮やかさをそのまま頂きたい…」
先ずは一口だけ生のまま食べようと思ったが、何もつけない勇気はなく、ごま油に醤油と白ゴマをあえたドレッシングを少量だけ作り、サッとかけた。そしてふわふわをそっと口に入れる。

パーン!!

柏手が鳴り響く。
う…旨い!
美味すぎる!
きゅう。

もぎゅもぎゅもぎゅ。
食べなら考える。
「よく見る、は時間がかかるなぁ…」
よく見てよく考えてから食べようと思ったの。
そしたら、えらく長い思案をしてしまったの。
物語まで考えちゃった。

さらに食べならがふむふむと思うの。
「味わうのは一瞬だなぁ…」
だからよく噛んで食べた。
咀嚼回数アップは課題だし。

時間はかかる。
時間をかける。
似て非なる。
非で似なる。
始まりをどこにするかで変わるのかもね。
だから。
「時間がかかった時こそかけていると思おう」
と思った。
というハナシ。

二回目豆苗はまさに、一週間をかけた美味しさに満ち溢れていたのでありました。

ふむ。
これからの自分も時間をかけますの。
幾年月、日々是、成長。
よろしくお願いいたします。
うむ。よし。
時間をかけて、今夜もしっかり回復だ。
おやすみなさい。


あ、物語は、色の妖精との出会い。
小人の画家のお伽噺。
彼女はささやかに描く。
失われた瞬間を。
想いを。
もっと鮮やかにするために。
気づけない人がほとんどだけど。
でもぼくは出会えた。
色に。
優しさをもって描く姿に。
きみは云う。

「光から色を取り出してわたしは描くの。キャンパスはこの世界にある全て。草花、コップ、空、こころ。これはささやかな気づきの魔法。だってほら、世界はこんなにも色に溢れているんだから」

カラフル。
僕の夢もまたそうでありますように。


愛川武博


by moving_sheep | 2026-02-27 23:03 | 目先そうそう | Trackback