移動する羊 是楽日

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移動する羊による稽古場の一つであり、呟きの場であり、表現の場所 物語・小説・詩・遊び

『発酵食人』~2025年3月15日(土):目先想創


トレーニングをした後は、先ずはタンパク質を取る(結局そのままご飯を食べる)のだけれど、だいたいヨーグルトを食することが多い。そしてチーズ。からの出来れば納豆を食べる。タンパク質をメインで取る時には、食物繊維とかも含めて腸のことを考えないと、すぐに便が固くなったり出なかったりするからね。その摂取の流れの中で、最近はヨーグルトを食する時に『なんちゃって瞑想』をすることにしている。
椅子に浅く腰掛け、背筋を自然な形で伸ばすと、ヨーグルトを口に運び食しながら目を瞑り、よく噛むのだ。じっくりとヨーグルトの魂を感じながら咀嚼し、世界の微に思いを馳せる。
「美は微にこそ宿るのよ。」
心の中の武博子が云う。僕は彼女の言葉を身体中に響かせ、共振する。微生物たちのことを考える。動いている、働いている、生きている数多を鑑みる。普段は意識しないけれど見えないけれど、確かにソコにいる存在。関係。共に創っているその在り方。僕はゆっくりと、近ごろずっと感じ思っていた言葉を彼女へ返した。
「この世の人々は全て、発酵していると云っても過言じゃない。そう思うんだ。強く、感じるんだ。何故ならば僕らは生まれ落ちた瞬間からずっと、死に向かって醸されているようなモノだから。」
「いいえ、それは過言よ。確かに発酵することこそ、歳を重ねるという事なのかもしれない。微の力を借りてね。でもね。人は同時に腐敗するものよ。いいえ、むしろ腐敗することの方が多いのかもしれない。」
「……ああ…そうか…。」
「発酵だけならば、それはそれは素敵なことなのにね。」
「…そうだね………どうやら僕は視野の狭いロマンチストみたいだ。」
「いいじゃない狭くても。そもそもロマンチストは得てして視野が狭いものよ。そしてそれが美徳でもある。そして何より実は気づいているのでしょ?気づいても、知っても、知っていても、諦められない思いが溢れる。叶えようとする。まるで理想家のように。最高の夢想家のように。」
「最高の、夢想家……?」
「ええ、そうよ。夢を想い、叶える人。だって、いつだってだって、多くの人が「実現不可能だ」って云うことを形にしてきたのは、そんな夢想家たちでしょ?」
「……そうかもしれない。」
「美は微に宿る。あなたのささやかな小さな気づきが、いつかきっと美しさに変わることを……願っているわ。」
僕はゆっくりと目を開けて、今いた小さな世界から大きな世界を見て、呟いた。
「ああ、発酵食品ってホント美味しいなぁ。肌、つやつやになるといいなぁ。アレルギー耐性が強くなるといいなぁ…。しかし…花粉…多いなぁ………」
今朝の事である。きゃふん。


愛川武博


by moving_sheep | 2025-03-15 21:49 | 目先そうそう | Trackback