2023年 12月 20日
『孤独の愛』~2023年12月20日(水):目先想創
殺される孤独と生かされる孤独、つまり殺す孤独と生かす孤独について思いを馳せる。
20代の頃、友人がワーキングホリデーでオーストラリアに行っていたときに手紙が届いた。
「孤独はいいな。孤独は素敵です。」
端的にいえばそんな内容。
広大な大地に一人立つ彼女から届いた言葉は、僕にはとても印象的だった。
昔はよく手紙やハガキを貰った。
今みたいにSNSやメールが主流じゃなかったこともあるけれど、結構、長い事、僕は携帯もパソコンも持っていなくて、なかなか連絡がつかない捕まらない人、だったからだとは思う。
あまりの捕まらなさに弊害がありすぎて(その頃の僕は年に7本とか舞台に立つようなタイプだったので)さすがに「携帯を持て」と言われて持つようにはなりましたが……。
しかし、やはり、手紙はよく貰った。
それも海外からが意外と多かった。
旅先。
留学先。
移転先。
女性がほとんど。男性はあまり書かないよね。そして海外からでも手紙や電話で恋愛の相談(主に聞くだけですが)を受けたりするのも、どうにも普段と変わらない僕の傾向だった。
年がかなり離れている人もいた。
小説家になると言って、定年の年齢になったら自分の印刷会社を整理し、家族とも決別し、京都の嵐山に行ってしまった彼。嵐山から送ってくれた手紙は達筆で、夢が溢れていた。しかし手紙は残っているけれど、いつの間にか住所を書いてあった封筒がなくなっていて、返事を書けないでいる。かなり昔のことだけど、いつか返事の手紙を届けることを思い描く。まだ、小説を書いているだろうか。
届いたそれらは今でも、片付けや引っ越しの途中で僕に読み継がれている。
きっとこれからも未来の僕に読み継がれることであろう。
〈孤独〉を送ってくれた彼女の手紙に書かれた想いもまた、僕には大切な宝石みたいに輝いていた。
孤独。
僕らは基本的に孤独である。
これはもう物理である。
でも感じている。
「一人でも一人じゃない孤独は、自分を生かしてくれる。」
と。
稽古場で数年前に聞いた言葉を連想して思い出す。
「私は一人だけど、一人じゃないって思うんです。だから一人はいいなって。」
僕は考える。
孤独というものの正体を。
僕は視ようとする。
姿を変える孤独の実体を。
僕は向き合おうとする。
孤独そのものと。
そして思う。
「それはやはり愛と関わっている。」
と。
愛川武博
by moving_sheep
| 2023-12-20 20:46
| 目先そうそう
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