花見稽古【桜歌】~田辺真奈の目先写真と目先書簡「においを辿る」

【目先書簡】
甘いものが焦げるにおいがしたのだ。
わたあめだ!
わたあめかな?
わたあめであってほしい。
行こう。
この興奮を共有できた瞬間、ああ女の子同士だ、をすごく感じた。
においを辿って歩いてみたけど、わたあめは見つからない。
先ほど感じたはずの甘い香りは幻かと思うくらい、近付けない。
幻嗅ってあるのかしら。
砂漠で見る蜃気楼のように、わたあめの香りを錯覚。
オアシスを求めて歩く旅人のように、いやそこまで切羽詰まってはいないか。
わたあめの香りを探してしばらく歩いた。
わたあめの香りは見失って?しまったけど、嗅覚を開いて歩いていると花の香りを感じる。
これが桜の花の香りなんだろうか。
桜の花の香りを今まで嗅いだことがなかったような気がするから確信が持てなくて、他の花の香りかもしれないし道行く人の香水の香りかもしれないけど。
このすぐに忘れてしまいそうな淡くて優しい香りが桜の花の香りなら、私はもっと桜が好きになる。
わたあめは後から全然違う場所で見つかった。
お砂糖と熱と空気が織り成す魔法の食べ物。
口の中で溶ける甘さで、また女の子同士を満喫した。

