稽古場情報 牛を見、天狗を見、未来を見、僕らは互いの魂を見る
正確には群馬に行って友人夫婦宅で泊まった夜、床についた瞬間からみるみる風邪をひいたのだが…。
寝る前に彼女に「どこで眠ります?」と聞かれ、二階の寝室部屋ではなく下で眠るつもりでいた僕は、言いよどんでいると彼女がすかさず言った。
「家族はお互いの呼吸を聞いて眠るんですよ?それが家族なんです」
僕は三人で川の字になって眠ることを決めた。
最近しっかりと睡眠時間を確保出来るようになってから、イビキをかかなくなっていた僕は、その友人夫婦の横で眠っても大丈夫だと思ったのだ。
しかし布団を敷いてもらって眠ったはイイが、風邪をイッキにひいて呼吸困難になり、ずっと朝方までイビキをかいてしまいウルサイ(自覚はしているし、たまに起きる。そして起きて確認するのだが)、でも隣で寝ていた彼女は何も言わず僕から少し離れ、はしっこのほうにズレて丸くなっていた。
優しい。
きっとあまり眠れなかっただろう。
非常に心苦しい。
あまりに昼間ハシャギ過ぎたか?
きっとそうだ。
僕は朝から群馬に行き、昼食にウドンと蕎麦をたっぷり茹でてもらい食し、午後は車で赤城山に登り、夜は旨い焼酎をたらふく呑みながらずっとハナシをしていたのだから、非常に元気で、風邪なんかひくワケがないと思っていた。
お風呂を貰い床についた瞬間に風邪が発症したのだ。
10月の群馬は少し寒かった。
それ以上に僕の心は熱かった。
だからその寒暖の差に身体がついてこれなかったのだろう。
なんせ二人に会うのは五年ぶりだったから。
僕は二人が二人とも、それぞれとても大好きだ。
その二人が居るんだから、こんな嬉しいことはない。
彼女は相変わらずだった。
元気で可愛くて変で熱があって美しくて頭がよくてまっすぐで面白い。
でもささやかだけれど、彼女は変わっていた。
結婚して大好きな人とずっと一緒に居るということはそういうことなのかもしれない。
愛の中で、安定の中で、じっくり自分に向き合っていた。
己の“業”に振り回されていたあの頃とは少し違う。
彼は相変わらずだった。
クールでカッコ良くて無口で一瞬雄弁で彼女が大好きでちょっと甘えん坊でじっくり思考している。
そしてささやかだけれど、彼は変わっていた。
人の生死に触れる仕事に就くというのは、きっとそういうことなのかもしれない。
良く言えば“覚悟”
悪く言えば“思考停止”
そこから派生する様々な、ささやかな、変化。
無論彼は考えている。
頭が良いから思考を分析出来る。
しかし昔からそういうトコロがあったけれど、ジツのある思考を積み重ねられない。
それが前より加速している。
ような気がした。
確信はない。
変化を認識出来ても、確認する機会がない。
僕個人が思うことは確かに感じた“変化”(果たして相手の心か己の心かは実際はワカラナイけれど)への、勝手な解釈だ。
そして強く思った。
だからこそ、前のように、また様々な憤りや矜持や愛や不満や理想や悲しみや喜びや、そんな本音を話す“機会”と“時間”が欲しいと思った。
その“機会”と“時間”が、その時代が、どれほど彼の素敵な面白い『作品』に反映されていたのかを、僕は痛いほど知っているから。
(例えばそれは僕以外でも、実は良いのだけれど)
人は明日には死ぬ。
作ることをやめてしまい、今でも作品を作りたいと悩んでいる、彼の“作品”が僕は好きだった。
“業”に振り回されても圧倒的ジツと情感とそれにアラガいあがく、彼女の演技が僕は好きだった。
辞めた今でも、とても素敵な良い女優さんだと思っている。
僕らはゆるやかに生きる形を変えてゆく。
ちなみに会ってそうそうに元気よくテンション高く喋りまくる僕に対して、その時に彼が思ったことを、後で軽く引き笑いを含みながら明るく言っていた。
「愛川さん変わったよね。こんな元気でしたっけ?」
人は変わる。
人は変わらない。
当たり前な一般的な現象を痛感する時ほど、リアルに突き動かされる。
そのアタリマエを僕は伝える。
日曜日の稽古にかなり久しぶりに来てくれた俳優がミッシング・ウォークをやっている時に、5年ぶりの再会で思った、言葉にしたくて出来なかった大切なモノのカケラを下敷きにアドバイスをした。
「僕らは過去でデキテイル。その過去とイマを、この瞬間を、つまり過去と五感の全てを同時に使って、歩こう」
「歩こう」
僕は明日には死ぬ。
だからこそ。
だからこそ。
愛川です。
今週の稽古
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11月7日(水)
17時30分~21時30分
南長崎第一区民集会室
11月9日(金)
17時30分~21時30分
雑司ヶ谷区民集会室
11月11日(日)
13時~17時
南長崎第一区民集会室
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クリスマスにお芝居をやるつもりでしたが、延期。
2013年2月15日~17日あたりを画策中。
引き続き、参加者募集中。
稽古場は誰でも参加出来ます。
いつもだいたい池袋周辺で稽古。
興味のある方は愛川武博(loveriver@di.pdx.ne.jp)まで『稽古場参加希望』とタイトルに書いてメールください。
テキストを用意したいので、来られる方はお早めにご連絡ください。
勿論、当日ヒョイと来てもらっても構いません。
皆様、気軽にいらしてくださいませ。

