移動する羊 是楽日

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移動する羊による稽古場の一つであり、呟きの場であり、表現の場所 物語・小説・詩・遊び

稽古場情報 目覚めた​のは野性か、それとも​新たな場所への憧れか

数日前に僕は日常から目覚めた。
朝8時30分くらいだろうか。

サイレンが鳴り響く。



僕は神妙になって窓を開けた。
坂の上に建っているアパートの窓から街を見渡す。
救急車?
いや消防車だろうか?
あるいは津波予報のようなサイレンは、僕の中にえもいわれぬ不安を呼び起こす。
いや違う。
不安じゃない。

むしろこれは躍動感だ。

怖れの中に確実にある魂の震え。
例えるならば、己の中の野性が目覚める感覚だった。


そうだ昔僕はケモノだったじゃないか。

そうだケモノだったんだ。
自分はどんなケモノだった?
羊?

違う。
違った。

オオカミだ。


響きに魂が揺さぶられる。

僕はそのサイレンに耳を傾ける。
長く続く響き。
その響きに重なるようにまた新たなサイレンが加わる。

…2つだ。

どういうことだ、何故2つも鳴り響くのだろう?

まるで己の心を反映するかのような不安と躍動。
さらに耳をすます。

そして僕は気づく。


これは遠吠えだ。



僕のアパートは高台にある。
高台と言ってもギリギリの高台。
3分の1ほど斜面をコンクリートで補強された場所に建っている。
余った土地に無理やり造られたのだろう。

ゆえに真後ろには昔から住んでいるであろう一族の、広い広い庭を有している大きな家がある。

庭は様々な木々や花たちが群生し~群生と思っているのは僕だけかもしれないが。えてして己の居場所の秩序というものは、本人たちにしかワカラナイものであろうから。まあその緑豊富な広さに~犬が放し飼いになっている。

その庭は僕の住んでいるアパートのちょっと上の方にあり、首のあたりから金網になっているから、タイミングが合えば犬と目が合う。
何度か合ったがなかなか険しい目をしている奴である。

しかし犬は悲しいかな、口に金具がつけられている。
吠えないようにだろうか、噛まないようにだろうか。

たまにしか外してもらえないらしく、たまにしか吠えられない。
きっとたまにしか噛みつけない。
いやたまにでも困るけど。

だから外してもらった時はいつもずっと吠えている。そしてその日は、遠吠えたのだ。

長い長いサイレンのような遠吠え。
それに呼応する近所にいる僕の知らない犬。

負けじと僕も昔とった杵柄、遠吠えしてやった。


ワオーン。


しかし僕はその直後に愕然とする。
僕の遠吠えは、ご近所さんとの関係を壊さない程度の軽いものでしかなかったのだ。
ささやかな遠吠え。

なんてこった…。

僕は知らぬ間に人間になってしまっていたのね。
昔オオカミだった頃なら、確実に大きな声で吠えまくっていたはずなのに。
きっとかみついていたはずなのに。

新たな場所へと物怖じもせず、どんどん走り抜けていた、まだ羊と名乗る前の若かりし頃ならきっと。

まあいい。
まあいいのさ。

何はともあれ9月30日の十五夜を2日も前にしてだが、僕は遠吠えして、久しぶりにオオカミになったのだ。


それはある種の覚醒。

己の逆転。

マドロミ羊は目覚め狼の夢をミテイル。



ちなみに2日後の十五夜の満月の夜、自転車に乗りながら帰宅中、一応ささやかに吠えてやったぜ。
愛川です。




今週の稽古
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10月5日(金)
17時30分~21時30分
南長崎第一区民集会室

10月7日(日)
13時~17時
雑司ヶ谷区民集会室


基本稽古内容
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@基礎訓練(アップ・体幹・身体トレーニング)
@ミッシングウォーク(羊メソッド)
@テキスト作品作り

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クリスマスあたりにお芝居上演画策中。
羊たちの宴「冬」。



稽古場は誰でも参加出来ます。

いつもだいたい池袋周辺で稽古。

興味のある方は愛川武博(loveriver@di.pdx.ne.jp)まで『稽古場参加希望』とタイトルに書いてメールください。

テキストを用意したいので、来られる方はお早めにご連絡ください。

勿論、当日ヒョイと来てもらっても構いません。


皆様、気軽にいらしてくださいませ。
by moving_sheep | 2012-10-02 23:02 | 稽古場レポート | Trackback