【加田担当】2011年羊稽古場 四十五日目―届けられなかったアタシの思い
愛川氏、寝坊。実は、前夜、一緒に酒を酌み交わしていたので、少々責任を感じる。飲みすぎはよくないです。はい。
この日の参加者は、私のほかに、ヨーコとワークショップ以降来ている2氏。あとから仕事帰りの竹中勇さんもやってきた。とりあえず、柔軟・アイソレーションをやり、久々に発声練習。愛川氏を待つが、なにも連絡がないので、はてさてなにをしようかと考える。
現在の「移動する羊」の稽古は、柔軟系、ミッシング・ウォーク、作品づくりの3本柱でおこなっているが、ここに至るまでには紆余曲折があった。初期には、音痴な3人で、歌の稽古をやったりもした。ミッシング・ウォークもただひたすら動きのバリエーションを増やすことに邁進していたときもある。
そのうちに定着したのが、現在の柔軟・ストレッチ・アイソレーション、それに発声とサーキットだ。
発声練習も初期はさまざまなことを試してみたが、最終的に残ったのは、腹式呼吸を鍛えるためのいくつかのパターンで、結論からいうと、それなりにしんどい内容だ。この日の稽古では、さわりだけしかやらなかったが、久々だったので、少し疲れた。詳しくは書かないが、興味のある方は、一度、稽古場を訪ねてもらいたい。きっとやってくれるはずだ。
「サーキット」とは、文字通り、体力作りのためのサーキットトレーニングである。部屋の端から端までダッシュ、腹筋・背筋、腕立て、スクワット――などを順番にやっていく構成で、これを3セット。体力づくりのためとはいえ、ホントにアホみたいに真面目にやっていた。いつだったか、初めて来た人が、これをやって嘔吐したことがある。
ワークショップなどでは、手で羽を広げるポーズをとりながら、スロースピードで、腰を落としていく「ツル」という稽古をやる。気の流れを調えながら、重心を下に置いていくのが目的だ。太極拳が元になっている。だいたい10回程度やるのだが、上げ下げの際、どうしても中腰部分がきつくなるため、そこで気が乱れ、スピードを速めてしまう。単純な動きだが、極めるのはそれなりに難しく、やるのは辛い。
つまり、なんのかんのいっても、結局、「羊」の稽古場は、頭からハードなことばかりやっていたのである。ゲーム的な「楽しい」稽古を取り入れた時期もあったが、なぜか長続きはしなかった。ひょっとしたら、人が寄りつかなかったのこのためかもしれない。いや、それだけが理由ではないだろうが……。
というわけで、この日もあらためてその「キツい」メニューをやる気にはならず、おたおたしていたのだが、ここでダンサー竹中が、ペアダンスの準備段階でやる稽古を教えてくれる。2人で片方の手のひらをあわせ、それを離さないように身体を動かしていく。さらに両手を合わせて、そして次の段階では、身体の一部を常につけて、同様に動く。相手と気を合わせ、コミュケーションの形を移動させながら身体を変化させていく訓練だ。ちょっとやってみたら、意外に楽しい。勇さん、ありがとう。また君から新しいことを教わったよ。
ダンサー竹中がいることもあり、ダンスの話題になったのだが、ミュージカルを学んでいる新メンバーの羽原さんは、これまで教わってきたダンスのステップやフリを、「全然下手なんですけど」と言いつつひとつひとつ笑顔で披露してくれる。本当にその都度、やって見せてくれるのだ。とくに自信を持ってやっているわけではなさそうなのだが、見せることに躊躇がない。すごいなぁ……あたしゃ、こういう人になりたいよ。本当に素敵で、おもしろい人です。
結局、愛川氏は来なかった。正確には稽古場に着かなかった。いろいろとあって大変だったようだ。
私は、昨日、酒を一緒に飲んで考えたことを、この日、実践しようと思っていたが、それができなかったのが悔やまれる。にゃあ。

