移動する羊 是楽日

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移動する羊による稽古場の一つであり、呟きの場であり、表現の場所 物語・小説・詩・遊び

稽古場情報 終わらない世界からの便り

バレンタインデーにチョコを誰からも貰わなかったかわりに、メールを一通貰った。
それは昼過ぎに届いた、長い長い女友達からのメールだった。
あまりに個人的で、あまりに具体的なメールなので、面白オカシク書くワケにもいかず、だが、とてもオモシロ可笑しいメールだった。

笑って、笑って、涙が出た。



彼女は東京を離れ遠くにいる。
事情があって去年の夏に東京を離れた。

彼女は暴力に対してとても敏感な人だから、あるいは、何かをまた自分の心に刻み、つけられたの、かもしれない。
いや、それこそ物理的な傷を受けたのかもしれない。

勿論メールにはそんなことは一言も書いていない。

きっと大丈夫だと思いたい。
何故なら彼女は世界でもっとも暴力の少ないクニに行ったのだから。

でも暴力がゼロになることはない、とも、思う。

残念だけれど、僕らは暴力に溢れたこの世界で生きていかなくてはならない。

時に受け、時にフルイ、僕らは暴力と共に行く。

そしてそんな世界の片隅から、彼女はバレンタインデーユーモアで僕をヒタスラに笑わせて、少しだけすべてを引き受けるための覚悟の涙を届けてくれた。

彼女はまるで距離を感じさせないアタリマエさで、メールの最後に昨年の夏に僕とメールでした約束を語る。

「最近またずっと歌を歌っているんだ」

そうだ君は歌が好きだ。

「ねぇ約束覚えてる?」

勿論だ。

「いつか、何も語らず公園にねころがって空を見て、ただそれだけの時、何も語らなくてもいいから、歌を歌おう。二人で夏の歌を歌おうね」


彼女は去年の夏、東京を離れ遠くへ行った。
その時僕は「世界が終わらなかったかわりに僕らは終わった」という芝居の本番前だった。

彼女は僕に、いつの日か、何も語らずただ公園で、黙って空を見上げる約束と「世界に語りなさい。あなたは届けることができる人だから」という言葉を残して遠くへ去った。

あの夏からの久しぶりの便り。
生きている時間が違うクニからの想い。
あの約束。
いつか本当にそんな日がくることがあるのだろうか?
僕はただささやかに祈る。


バレンタインデーにメールが届いた。
世界は終わらなかったけれど、彼女は東京を離れて遠くに行ったけど、僕はコノ世界の何処かで歌を歌っている彼女を想い、この暴力に溢れた世界を生きていこうと決意する。

そして僕は、自分の中に静かに響く言葉に耳を傾ける。
身体のずっと奥のほうからやってくる、言葉に耳を傾けるのだ。



ねぇ、相変わらず世界は暴力で溢れているけれど、同じくらい愛が溢れているんだって気づいたよ。

歌を歌おう。
公園で空を見て、二人で夏の歌を一緒に歌おう。


僕はチョコを貰わなかったけど、一通のメールを貰った。

それはどんなチョコよりも甘く、ビターだった。



ちなみにチョコは一個も貰えなかったけれど、僕は四個のチョコをあげたのだ。

どういうこと?

むしろこれはホワイトデーに期待するべきなのか?

愛川です。



来週の稽古時間です。

★2月21日夜東長崎/17時30分〜21時30分

★2月22日夜要町洋室/17時30分〜21時30分

★2月26日夜東池袋/17時30分〜21時30分

4月本番に向けての稽古中心ですが、ミッシングウォークもやりますし、見学でも良いですし、来る人にテキスト(希望制)も用意して稽古しますので、気軽においでくださいませ。

いつもだいたい池袋周辺で稽古。

興味のある方は愛川武博(loveriver@di.pdx.ne.jp)まで『稽古場参加希望』とタイトルに書いてメールください。
by moving_sheep | 2011-02-19 20:15 | 稽古場レポート | Trackback