これは僕の妄想かも

ごめんなさい。

『妄想収集家』

公演中止になりました。

理由をどう書くべきか?
本当のことを書くのか、それとも、一般的(なのかな?)に諸事情により的な感じでお茶を濁すか、いやいやそれは、どうなの?とか自問自答を繰り返し、結局今の時間になってしまいました。連絡すべきところには連絡をして、しかしなんだかその後はボーっとして。はてさて。

ま、でも、書くかな、と。

これはこれで良い経験でした。

知りたくない人はスルーしてください。



公演中止の理由は黒田玲兎くんの逃亡です。

逃亡って書くと語弊がありますが、ま、ほぼ、それに近い状態でした。
月曜日の稽古が終わって、なんだかとてもやる気の黒田玲兎くんでしたが、それ以降にまったく連絡が取れなくなりました。あれは、カラやる気だったのか、それともその後に何か個人的な一大事があったのか、一人になってやる気がなくなったのか、何があったかはまったくもって知りません。

実は僕は芝居より、日常が重要な人です。
日々の生活を大切にすべきだと思います。
自分の場所を大切にすべきだと思ってます。
大切なものが、人それぞれなのを痛いほど知ってます。
優先順位があるのも知ってます。
生きることのほうが、僕にはとても大切に思います。

つまり、死ぬくらいなら、逃げたっていいんですよ。

人は簡単に死にます。
ストレスでも死ぬし、絶望でも死ぬし、妄想でも死ぬし、心が死んで人生が死ぬし。

でも僕は死なないために演劇をやっている。
死んでほしくないために演劇をやっている。
死なない演劇を目指している。

変な話ですが。

だから彼が日常で何かあったのなら、それが大切なら、それを優先していいんです。

でも、彼が作品を作ることにたいしての、何かだったら、また思うことがあります。

(実際彼は、いろんな現場で、遅刻したり、来なかったりしている前科があるのです。だから必然まず、それについて考えます。今まで、このように書かれなかったのが、意外なぐらい。まあ、最初にも書いたのですが、一般的にお茶を濁しても良かったのですが。彼は自分のネット上の何かに、「28歳まで武道館に立つ」みたいなことを書いていたよ、と、音響の海老原さんが言っていたのですが、僕はホントに心配になります。このままじゃ何処にも辿り着けないよぉ~、と。余計なお世話かもしれませんが、心配になります。怒るよりまず先に、心配になります。これが、良いキッカケになるといいけど)

僕は、やりたくて真剣に謙虚に頑張れる人と、作品を作るべきだと最近とても痛感しています。何故なら、やりたくて真剣に謙虚に頑張っている人でさえ、真剣に謙虚に頑張れない瞬間があるからです。それが人間だからです。だからこそ、やりたくて真剣に謙虚に頑張れる人じゃないと困ったことになることが多いのです。初めからそうじゃない人とは作品のタカミを目指せないからです。深さを目指せないからです。遠くまで行けないからです。

黒田玲兎くんに初めに言いました。
彼は頷いていました。

何故なら、妄想収集家は黒田玲兎くんがやりたいと言ってきたからです。

だから僕は時間と労力をかけようと思ったのです。
彼はトリプルサマーを見てます。
観終わった後すぐに握手を求めてきました。
彼はだから知っているのです。
移動する羊の、羊ユニットの作品を知っているのです。
知っているからこそ、話が出たときにやりたいといったのでしょう。

でもひょっとしたら知らないのかもしれません。
トリプルサマーの二人が楽しく自然に表現している背後にある、あがいて、踏ん張って、悩んで、考えて、落ち込んで、でも感じて、あらゆるものを感じて、なにより表現を楽しもうとしていたことを。

勿論、移動する羊の稽古であるから、言葉では伝えていました。
身体におちる稽古をしていました。
彼の身体におちた瞬間もありました。
でも、本当の意味で知ることは出来なかったのかもしれません。

いえ、ひょっとして知ったからこそ、だったのかもしれません。

どちらにせよ、僕が言えることは。

もっと楽しんで欲しかった。
表現を楽しんでもらいたかった。
自分を楽しんでもらいたかった。

その先に、必ず、新しい意味が待っていたのに。

と僕は思うのです。

とはいえ、僕は彼と同じ年齢のときに、彼と似たようなものだったので、彼の謙虚さとプライドと、イイカゲンにどうでもよくなってしまう気持も、かなり、かなり、ワカルのですが。
とはいえ、公演を逃げたりはしてないですよ。勿論。
とはいえ、彼を知らないし(僕は誰に対しても絶えず知らない)、彼に何があったのか知らないので(だからこそいつまでも誰に対しても知ろうと思うので)、ホント分からないが前提ですが。大丈夫かしら?
とはいえ、ひょっとしたら、たった短い時間だけど、意味があったかもしれないと思う。だと、いいな。

とはいえ、彼が盗んでいったものは、ハカリシレナイ。

昔、ある女の子が言ってました。
「遅刻は人の時間を盗んでいる、泥棒だよ」
僕は実は、この言葉を、人と待ち合わせが前提にある時に、絶えず思い出します。
いつもその言葉に向き合いながら、時間について考えます。

彼は少なくとも藤田祐子さんと海老原あいさんと愛川武博の時間を(時間だけじゃない様々な労力と心を)盗んでいきました。そして逃げていきました。

藤田祐子さんは昨日金曜日、稽古の45分前まで、言ってました。その夜、三人で深夜練習をして、間に合わせようと、彼にメールし、深夜練習の用意までしていました。返事はなくても信じてました。
「大丈夫、来るよ!ほらあと45分ある!」
「あと30分ある!稽古しましょう!」
だから僕らは時間ギリギリまで稽古しました。
諦めることなく、最後まで稽古しました。
でも、彼は来ず、こうして僕らの妄想羊は終わりました。



黒田玲兎くんは脱兎の如く逃げたね。
ウサギだけに?



もう、昨日の稽古終わりから、このジョークをよく言っています。
この文章が、まるでこのジョークを言うための、長い長い前フリみたいになってしまった。




なにはさておき、僕らはひたすら妄想収集家探し中。


え?
どういうことか、だって?
だって藤田祐子さんが公演やりたいっていうんだもの。
とりあえず、相手役探し中。
妄想少女が妄想収集家を探している。

いえ、どうなるか、まったく決まってませんが。
おほほほほ。
でも、やりたいんだって。


楽しみにしていてくれた皆様、本当に本当に本当に申し訳ございませんでした!!
妄想羊のメンバーとして、ただ、ただ、ひたすらに謝罪します。

ごめんなさい。

次の作品で、この借りは、お返しします。

by moving_sheep | 2010-10-30 20:15 | 妄想収集家 | Trackback
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移動する羊による稽古場の一つであり、呟きの場であり、表現の場所 物語・小説・詩・遊び


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