移動する羊 是楽日

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移動する羊による稽古場の一つであり、呟きの場であり、表現の場所 物語・小説・詩・遊び

稽古に向かうたびに現れる I LOVE N.Y

ヨーコから数日前の稽古を始める前に、ある男の話を聞いた。

それはJR中央線の車内でのこと。
外国人の男性と日本人の女性、その二人の子供の三人家族。
その家族の、子供をベビーカーに乗せている奥さんの方に話しかけてきた、謎の男の話だ。

彼は外国に興味があるのか、しきりに英語の話をする。
「何処で英語を習ったのですか?」
「大学です」
「何処の大学ですか?」
「それは答えたくありません」
「あなたは、知らない人に、何処の大学に通っていたかを教えるのはイヤな人ですか?」
「・・・・・」
「住んでいる場所は?」
「いや、それはちょっと」

奥さんはやんわりと断る続ける。
外国人の旦那さんはよく分かっていない。
ヨーコは子供と男の間に立ち、子供を守る。
勿論、ヨーコとは関係ない人たちだ。
いざって時のために。
とりあえず、何事もなく無事、下車。
稽古場で「怖いねーそれはー」と恐々として言っていた。

そして話は今日の稽古場に行く朝のこと。
九時にJR中央線に乗っていた時に、一人の坊主のひょろっとした、黒のTシャツに白文字で『I LOVE N.Y』と書かれた男が目の前を通った。そして二つ右隣に座っている外国人に語りかけていた。
「アメリカですか?」
「いえ、私はイギリスです」
「あっ失礼。間違えました」
そういうと、そそくさと他の車両に移動した。
そう、皆さんの予想どうり、僕はその時に確信したのだ。

ヨーコの言っていた、英語好き男だ。

勿論、今朝、さっそく確認した。
風貌を聞いていなかったので、風貌をヨーコに言って確認したところ、一致することが判明。同じ男なのだ。しかし、英語好きじゃなくて、明らかにアメリカ好きじゃん。『I LOVE N.Y』って。そりゃーイギリス人じゃ、ダメだ。こんな偶然がおこるのか?そもそも、すぐ「あいつだ!」とワカルお互いのイメージの共有が素晴らしい。これは、芝居が上手くいっている証拠なのかもしれない。そもそも、ヨーコと僕は、まるっきり好みが違うし、合わないことが結構あるのだ。それなのに、イメージを共有出来る。いやむしろ、違うからこそ、なのか?むふふ。なんだか楽しくなってきて、こりゃー稽古に熱が入るってもんだよ。

そのようにして今日の稽古が始まったのだが、荒野を歩くで買ったCDプレーヤーが壊れて動かなくなってしまった。
しょうがないので、古いやつを使っていたら、それも動かなくなってしまった。
しょうがないので、パソコンで音響を入れる。

なんてこった。

世界が終わらなかったかわりにCDプレーヤーは終わった。

このようにして共有と終わりを繰り返し、僕らの稽古は続いてゆく。

そんなこんなで、今日も僕らは終わらない。
by moving_sheep | 2010-09-16 18:44 | 世界が終わらなかったかわりに | Trackback