移動する羊 是楽日

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移動する羊による稽古場の一つであり、呟きの場であり、表現の場所 物語・小説・詩・遊び

夏色(彼は何を知ったのか?)

彼は大学の3年の時に、急に思いたって南米のチリを目指した。何故チリなのかは分からない。何かに導かれるような閃光が、チリの山脈が写っている観光ポスターを見た時に頭の中に輝いたのだ。そうして1年大学を休学して、彼はチリに滞在し、北から南へチリを横断する旅をした。彼はそうして日本に帰ってきたが、彼は何かが変わっていた。明らかに何かが。何か重要な「存在」に出逢ったかのように。彼はまるで何かを探している。漠然とした、でも確実に存在している「運命」みたいなモノを探しているようだった。それもこの日本の日常の中で、だ。でも彼は普段はいつも通りの愉快で陽気な男だった。その陽気さにおいては天才的だった。しかし頭が悪かった。でもイマジネーションに溢れていた。つまりようは彼はバカの神様だったのだ。豊富なボキャブラリーでバカなことを言い続けるのだ。そうして、今年も夏がやってきた。彼にとって特別な夏が。

トリプルサマー「夏色」からの抜粋6。

稽古は日々、真夏の太陽のように続いている。
僕らの夏は始まったばかりだ。
by moving_sheep | 2010-07-19 21:34 | 夏 夏 夏(トリプルサマー) | Trackback