移動する羊 是楽日

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移動する羊による稽古場の一つであり、呟きの場であり、表現の場所 物語・小説・詩・遊び

稽古場情報  女優力

長いこと音信不通な女性と久しぶりに話をした。偶然あるパーティーで再会したのだ。彼女は作家であり、女優でもあった。彼女が高校生の頃から知っているのだが、中身はそんなに変わらない。カチキで、元気はつらつとし、無邪気だ。でも彼女は大人になっていた。十代後半。二十代前半。二十代なかば、二十代後半、とそのつど交流があり、そのそれぞれの時代を知っていたのだけれど、三十代に入って何かが変わったみたいだ。勿論根っこは変わらないのだが、その性質のまま大人になったという感じ。いや、大人というのは正しくないのかもしれない。でも、うまい言葉がみつからない。あえて言えば『歳を重ねた』というか。それは良い面も悪い面もあるように僕には映った。少女の心を持ったまま成長していく面と、子供の未成熟な感情をヨリドコロにして理論だけ大人になったような。柔軟さと頑なさのハザマで揺れ動くような。まるでそれを象徴するかのように彼女はボソッと「大人にはなりたくない」と言っていた。その彼女は僕に、たくさんのことを語った。それは、表現者とはこうあるべきだとか、君は感じたことをもっと自分の中にためなきゃならない、とか。もう覚えられないくらいのたくさんの言葉を貰った(同時に少女の頃のようなエネルギーを伴った気持ちも貰ったのだ)僕はフムフムと聞いた。そして彼女の言っていることをとても素敵だと思った。僕は「とても素敵なことが聞けて良かった、ありがとう」と言って彼女に気持ちを返した。しかし彼女は僕があまりにフムフム聞くので、あなたは今まで何をやってきたの?何を学んできたの?と言わんばかりに、その素敵な言葉の数々を彼女は「当たり前のことだ」と言った。そうなのだ。その通りだと思うよ。僕はフムフムと彼女の話を聞いていたけれど、それほど特別なことを言っているわけではないと思っていた。その言葉の意味は、僕が観察し、検証してきた創作現場から導きだした意味ばかりだった。さらに言えば、たくさんの本を読み、人と話し、手に入れてきた言葉ばかりだった。彼女の言ったことは、僕はかなり昔に手に入れたことばかりだったのだ。何年も集団創作を続けるということはそういうことだ。それなのに何故素敵なのか?つまり僕は彼女の言った結果を聞いて素敵だなと思ったのではなく、彼女の歩んできた道で、自分の痛みと引き換えに手に入れた言葉だったから、素敵だと思ったのだ。何故彼女の言うことが素敵であり、僕の心に届くかと言うと、彼女の言葉が“真実”だからなのだ。彼女が経験し、体感した真実だからこそ面白いのである。大古の昔から人間はそんなに変わっていない。ようだ。文献を読むかぎりじゃ。勿論、時代がうつしだす人間の意味はまるっきり違うのだけど。その昔、女性の人権がなかったことを考えるとそう思う(どうにも僕には信じられないのだが。こんなに強くしなやかな女性が市民権がなかったなんて。勿論時代と場所によるのだろうけど)だから僕は当たり前だろうと、ささやかだろうと、人間がつかみとったありふれた“真実”を素敵だと思う。ナイガシロに出来ない。とはいえ、最近僕は「アタリマエのことを」的なことを4、5人の女優さんにたて続けに貰った(面白いことにたった3日間でだ)言葉は違うが中身は一緒だ。そのアプローチや内容は様々なのだがイチヨウに「アタリマエ」のことに反応した態度だった。それぞれが、それぞれの前提をツキツケル。世界には様々な「アタリマエ」が存在するのだ。なかなかワカリアウのは難しい。ちなみにその女優達は皆、女優としての自分の評価がある一定のラインを超えて「在る」ことを自覚している。という共通点があるのだ。つまりそれなりの評価人生を歩んでいる。つまり絶対的自信を何処かに持っている。これが何を意味しているのかは分からないけれど。もっと言えば、瞬間的に、ある爆発力を持って言動に現れる。それがここぞという時に出てくる根っからの女優さん達だ。まことに素晴らしいことである。素晴らしい資質である。僕は女優さんにたいしての演技に求める理想がとても高い(のじゃないかなー)と思うので、それくらいの人がちょうど良い(のじゃないかなー)と思う。でもここ数日でなんだかいっぱいいっぱい女優さんに会って正直思ったことは、「女優って怖いわ」と思ったということは言うまでもない。あっ言っている。うむ。あっ。また女の子の話をしてしまった。よく「女の子好きだよね」と言われる。「女の子の話が多いよね」と言われる。本当によく言われる。実際はそんなに多くはないのだが。イメージだ。いや確かに好きだけど。でも最近はそう言われると「実は本当はメチャクチャ男の子が好きなんだ」と言うようにしようと思っている。だってメンタルゲイだもの。心はゆるせるけど身体はゆるせない男。愛川です。

次回の稽古は6月23日の水曜日の13時ー17時です。
場所は要町洋室です。(いつも池袋周辺で稽古)

稽古は毎週、集まる人に合わせて脚本を書いています。
基礎トレと移動する羊オリジナルメソッド(かなり心と身体を使う)とテキストで作品作り。
興味のある方は是非、愛川のアドレスに「稽古場参加希望」とタイトルに書いてメールください。
アドレス。
loveriver@di.pdx.ne.jp
by moving_sheep | 2010-06-17 21:17 | 稽古場レポート | Trackback