稽古場情報  生きている恐怖

年が明けてから、ひたすら悪夢を見続けている。まず見たのは1日の夜だった。つまり元旦に見た夢は覚えていなくて、それ以降はなんとなく、もしくは強烈に覚えているのだ。初夢から半月ひたすら悪夢を見ていることになる。確か記憶が間違いじゃなければ、元旦の夢は初夢ではなく、元日の夜が初夢だったはずだ。その日からモレなく毎日悪夢をみていることになる。はじめはそんなに気にならなかった。「ああーまた怖い夢をみたんだなー」とそのつど普通に思っていたのだが、目が覚めるたびにあまりに怖くて、この家、幽霊でもいるのじゃないかと思って、目を開けられないことが続いたある日、ハタと気が付いたのだ。「そうだ、僕は、2010年に、なってから、ずっと、悪夢を、みている」それに気が付いたのが1週間前だった。そのことに気が付いたら、ひょっとしたらもう悪夢をみないかもしれない、と思った。でも違った。毎日どの時間に目が覚めようとも、必ず「コワイ」と思って目を覚ますのだ。これほど恐怖を身体全身で感じることなど久しくなかったような気がする。いつぶりだろう?遠い昔にあった。いつかの、夜たち。そう、恐怖に身を任せて、恐怖そのものになり、自分と恐怖のサカイメがなくなった夜。そうだ。岩手だ。車の免許をとりに合宿で行った、岩手の山奥だ。僕は合宿中に毎晩、山奥から流れる川沿いに沿って海まで走っていた。ほぼ1ヶ月。毎晩本当に怖いと思いながら走っていた。道にほとんど明かりはない。月明かりと星だけが頼りだった。僕は暗闇の中、ひたすら海を目指していたのだ。僕は走りながら「この世の中には妖怪はいるんだな」とアタリマエのように思っていた。闇の生き物達の存在を感じていた。そして恐怖のあまり、自分自身が妖怪になっていくような感覚が溢れていた。何故僕はあれほどまでに「恐怖」に寄り添おうとしていたのか?そう。それは。生きている。実感だった。のだ。あれほど「生」を感じていたのは、僕を包む闇にひそんだ、狂わんばかりの「恐怖」ゆえなのだ。そう。そうなのだ。今年の僕はあの時と同じなのだ。まさに目を覚まして生きていることを実感しているのだ。いや、生きている実感によって目を覚ましているのだ。まあ、本当に家に幽霊が住み着いているのかもしれないが。ちなみに家の目の前は、駐車場と路地をはさんですぐ近くに墓場がある。つまりお寺がある。だからと言って幽霊がいるとは限らないけれど。とにかくいつまで続くか分からないが、とことん悪夢を見続けるのも良いかもしれない。その数だけ悪夢が「生」を連れてくる。その実感が明日へ進ませてくれる。とりあえず僕は、生きている。愛川です。

明けましておめでとうございます!

今年最初の稽古は1月16日の土曜日の9時ー12時です。

場所は要町になります。(いつも池袋周辺で稽古)

稽古は毎週、集まる人に合わせて脚本を書いています。
基礎トレと移動する羊オリジナルメソッド(かなり心と身体を使う)とテキストで作品作り。

興味のある方は是非、愛川のアドレスに「稽古場参加希望」とタイトルに書いてメールください。
アドレス。
loveriver@di.pdx.ne.jp

by moving_sheep | 2010-01-13 11:22 | 稽古場レポート | Trackback
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移動する羊による稽古場の一つであり、呟きの場であり、表現の場所 物語・小説・詩・遊び


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